日経コンストラクションでは1月9日号に引き続き、1月23日号で特集「2017年の土木40語・後編」を企画しました。前号では、社会・経済、法制度などについてまとめましたが、今号ではプロジェクトと技術に関して、2017年に大きな動きが予想されるキーワードを10個ずつ挙げ、トレンドを解説しています。

日経コンストラクション2017年1月23日号特集「2017年の土木40語・後編」から
日経コンストラクション2017年1月23日号特集「2017年の土木40語・後編」から
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 昨年は、20年の東京五輪に向けて、様々な大規模プロジェクトがスタートを切りました。17年は、いよいよ工事が本格化してくる年です。

 例えば、東京外かく環状道路(外環道)の都内区間。外径16.1mと国内最大のシールド機で4工区に分けて掘削しますが、3月までに2工区でシールド機が発進する見通しです。リニア中央新幹線は昨年末までに、17件の工事を契約済みで、そのうち9件で本体工事に着工。南アルプストンネルや品川駅、名古屋駅などで、これから工事が本格化していきます。

 技術の面では、ICT(情報通信技術)に要注目です。今から1年前、本誌16年1月25日号のキーワード特集では、ICTに関連したキーワードを四つ取り上げていました。それに対して、今号では技術関連の10のキーワードのうち、ICT関連が七つを占めています。

 今年、取り上げたICT関連のキーワードは、人工知能、インフラロボット、AR・VR、情報化施工、次世代センシング、レーザー測量、ビッグデータ。これらのうち、インフラロボットと情報化施工は数年前から盛り上がりを見せていますが、そのほかのテーマの多くは、技術開発が緒に就いたばかりのものです。なかでも、人工知能やビッグデータは、工種や職種を問わず、今後の仕事の進め方を変える可能性がある技術です。

 現役で活躍されている皆さんは、さすがに“ICTアレルギー”という世代ではなく、仕事やプライベートでデジタル機器を使いこなしていると思います。とはいえ、土木の仕事にICTを生かすには、機器を使えるというだけでなく、それなりの知識と発想が求められます。ICTを土木の“必須科目”と捉え、勉強することが欠かせません。

 細かい技術を習得する必要はありません。世の中にどんな技術が存在し、それを自分の仕事にどう結びつけられるのか。それが実現すれば、仕事はどのように変わるのか。技術の概要を押さえながら、日々、こうしたことを考えてみてほしいと思います。