職場での人間関係は、働きやすさを大きく左右する。エンジニアは、転職による人間関係の改善にどの程度期待しているのか。日経BP社の技術系媒体が実施した「エンジニア転職意識調査」の結果を見てみよう。

 調査では「転職すれば『人間関係の問題が改善される』と思うか」との質問に、「はい」「いいえ」で回答してもらった。多数を占めたのが「いいえ」で、72.2%(図1)。転職で人間関係が今よりも良くなると考えているエンジニアは少数派のようだ。

図1 「転職すれば人間関係の問題が改善されると思うか」との問いに対する回答
図1 「転職すれば人間関係の問題が改善されると思うか」との問いに対する回答
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 職種別や年代別など様々な軸で分析してみると、現在の職場の従業員規模別での集計で興味深い結果が出た。従業員数が少ないほど、「はい」と答える人の割合が多い傾向がある(図2)。「はい」が最も多いのが100人未満で31.5%、逆に最も少ないのが5000人以上1万人未満で21.7%。10ポイント近く差がある。

図2 図1の結果を、現在の勤務先の従業員規模別に集計したもの
図2 図1の結果を、現在の勤務先の従業員規模別に集計したもの
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 従業員の少ない企業ほど職場の人間関係の範囲が狭く、トラブルが起こったときに深刻化しやすいのかもしれない。その状況の改善を、転職に求めている可能性がある。

 自由意見には、人間関係の改善に関してシビアな見方が目立った。その一つが、「人間関係や環境、社風などフタを開けてみないと分からないことが多すぎる」(IT:システム・ソフトウエア開発、50代)。この会社なら良好な人間関係を築けそうだと感じて転職しても、いざ入社してみたら期待が裏切られる、といったこともありそうだ。「人間関係は、(外部の環境ではなく)自分の考え方や行動が変わらなければ変わらない」(建築・住宅:施工管理、50代)との意見もあった。

調査概要
アンケート調査をWeb上で実施。日経BP社のIT系、電子・機械系、建築・土木系のWebメディアを中心に告知した。調査実施期間は2017年7月3日~7月12日。回答者数は672人で、職種の内訳はIT系407人、電子・機械系122人、建築・土木系90人、その他53人。回答者の年齢は、20代以下72人、30代227人、40代214人、50代135人、60代以上24人。